政府は、新型コロナウイルス感染拡大防止と経済再生・日常生活の両立を図っていくため、観光や飲食等の各分野で、ワクチン接種証明やPCR検査等の陰性証明を活用する「ワクチン・検査パッケージ」を導入します。観光分野では、地域観光事業支援(県民割)や新たなGoToトラベルなど、主に国や自治体の取り組みに「ワクチン・検査パッケージ」が活用されます。
このページでは、観光分野で活用される「ワクチン・検査パッケージ」について、詳しく解説します。
ワクチン・検査パッケージとは?
「ワクチン・検査パッケージ」とは、事業者等が利用者等のワクチン接種歴や検査結果の陰性のいずれかを確認することで、新型コロナウイルスの感染拡大リスクを低減させ、緊急事態宣言等において適応される行動制限を緩和するものです。
2021年11月19日に感染症対策本部が策定した「ワクチン・検査パッケージ制度要項」によると、”緊急事態宣言・まん延防止重点措置の区域に係る県をまたぐ移動について、ワクチン・検査パッケージの適用により、国として自粛要請の対象に含めない”としており、他にも飲食店での酒類の提供や大規模イベント等、様々なシーンで行動制限を緩和します。(※政府や都道府県が、強い行動制限を要請した場合は、この限りではありません)
旅行業界では観光庁・都道府県の観光支援策に活用
旅行・観光分野では、観光庁および都道府県が「ワクチン・検査パッケージ」を活用した観光需要喚起策を実施します。現在は、県民の県内旅行を対象としている観光需要喚起策について、「ワクチン・検査パッケージ」を活用することで、安心安全な仕組みをつくり、段階的に支援対象地域を拡大していく方針です。主な施策としては、上図の3つが予定されており、旅行会社・宿泊事業者は、観光庁が指定する方法で事業者登録することで、各施策の参画事業者となることができます。
尚、観光庁や都道府県の施策とは関係ないものについては、事業者の登録は不要で、特段の制限はありません。ただし、民間事業者等がワクチン・検査パッケージの名称を用いる場合には、ワクチン・検査パッケージ制度要項に記載がある条件などを満たす必要があります。
ワクチン・検査パッケージの内容について
有効なワクチン接種証明・陰性結果について
①ワクチン接種済(2回目接種から14日以上経っていること)
…ワクチン接種証明(予防接種済証・接種記録書・接種証明書)
②検査結果が陰性であること(PCR検査は確認日の3日前以降、抗原定性検査の場合は前日又は当日)
…検査結果通知書は、①受検者氏名、②検査結果、③検査方法、④検査所名、⑤検体採取日、⑥検査管理者氏名、⑦有効期限が明記されていること。抗原定性検査は薬事承認されたものが対象。
⇒上記に加えて、本人確認書類(免許証など)の提示が必要
予防接種済証等を撮影した画像や写し等を提示することも可能です。確認書類の持参忘れなど、旅行後日の提出は認められないので注意が必要です。また運転免許証などにより、本人のものであることを確認するため、提示が必要です。
12歳以下の場合は?
12歳未満の児童については、同居する親等が同伴する場合には、検査が不要です。
ただし、緊急事態宣言、まん延防止重点措置の行動制限を緩和して、県をまたぐ移動を伴う場合は、6歳以上12歳未満の児童については、検査結果の陰性の確認が必要です。
接種証明や陰性結果、本人確認はいつ行うの?
旅行の予約・販売時にワクチン接種歴または検査結果のどちらかで利用するかを明らかにした上で、予約時や旅行当日、宿泊時のチェックインの際などに、予防接種済証等を提示します。
利用条件の確認を当日に行うと時間がかかり、利用条件を満たさない場合の対応など、現場での負担が大きいため、予防接種済証などの確認はできる限り、販売時など事前に確認することを推奨しています。事前にワクチン接種歴または検査結果を確認できた場合は、旅行当日は本人確認のみ行います。
条件を満たさない場合や陽性が判明した場合はどうなる?
旅行当日など、条件を満たさないことが判明した場合は、旅行事業者の近くで受けることができる抗原定性検査の案内がある場合があります。
抗原定性検査の実施が難しい場合は、ツアー販売時に明示している取消料や追加料金が発生する場合があります。宿泊についてはワクチン・検査パッケージを適用しない別の宿泊プランを案内することになりますが、この場合も追加料金が発生する恐れがあります。
陽性が判明した場合は、事業者が医療機関などを紹介し、受診へつながるよう案内することとしています。同行者が陽性の場合、濃厚接触者がいる場合については、保健所に相談し、指示に従ってください。
まとめ|接種証明はスマホに保存、キャンセル料などに注意を
①予防接種済証等はスマホのカメラで撮影して保存を
②検査結果通知を利用する方は、キャンセル料金に要注意
原本を持ち歩かな書くても、予防接種済証等を撮影した画像や写し等を提示することも可能なため、ワクチンを接種済の方は、スマートフォンのカメラ等で撮影し、いつでも提示できる準備をしておくと良いでしょう。
検査結果通知を利用する方は、旅行出発直前の検査結果の提示が条件のため、仮に陽性となってしまった場合は、キャンセル料金が発生する可能性があります。予約した時点で、キャンセル料金が発生するケースもあるため、予約時にキャンセルポリシーについて、十分確認した上で予約するようにしましょう。
観光庁が策定したガイドラインでは、事業者に対し、条件を満たさない場合の対応などについて、利用条件を明記するよう示しています。トラベルを避けるため、旅行者はそれらの内容を予約時に確認し、理解した上で申し込むようにしましょう。
観光庁は、ワクチン接種者や検査で陰性であっても、他社に感染させるリスクもあるので、基本的な感染対策を行うことや、旅行開始日の2週間前から感染リスクを避けて行動することを求めています。
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