旅行代金の実質最大半額を国が補助する観光支援事業「Go To トラベルキャンペーン」の公募が始まり、8月上旬開始を目指して準備が進められています。
「Go To キャンペーン」は事務委託費が高額だとして批判を受けましたが、これまでに実施された「ふっこう割」とは桁違いの事業規模であり、仕組みも異なります。
このページでは、「ふっこう割」と「Go To キャンペーン」を比較し、”これまでとどう違うのか?”を分かりやすく解説します。
このページの内容
Go To トラベル事業と令和元年度ふっこう割の比較
Go To トラベル | 東日本ふっこう割 | |
実施期間 | 2020年8月上旬〜 | 2019年12月〜翌3月頃 |
災害等 | 新型コロナウイルス感染拡大 | 令和元年度自然災害(台風19号等) |
補助内容 | 旅行代金補助+地域クーポン | 旅行代金補助 |
割引率 | 最大5割引(上限1人2万円/泊) | 最大8割引(上限1人1.5万円/回) |
事業費 | 1兆3500億円 | 24億5000万円 |
対象地域 | 47都道府県 | 14都県 |
対象 | 旅行事業者、飲食店等 | 旅行事業者 |
事務局 | 国土交通省が全国事務局を設置 | 各都県が事務局を設置 |
令和元年度に東日本を中心に襲った台風19号等からの観光復興のため、国は「令和元年度ふっこう割(東日本ふっこう割)」を2019年12月頃から2020年3月頃まで実施しました。
「Go To トラベルキャンペーン」と「東日本ふっこう割」の事業規模を比較しても500倍以上の差があり、これまでの「ふっこう割」に比べて「Go To キャンペーン」は、桁違いの大規模なキャンペーンであることは一目瞭然です。
これまでの「ふっこう割」の概要
九州ふっこう割 | 13府県ふっこう周遊割 | 北海道ふっこう割 | |
実施期間 | 2016年7月〜12月 | 2018年8月〜翌1月 | 2018年10月〜翌3月 |
災害等 | 熊本地震 | 西日本豪雨 | 北海道地震 |
補助内容 | 旅行代金補助 | 2泊以上の場合に、旅行代金補助 | 旅行代金補助 |
割引率 | 最大7割引(上限2万円/泊) | 最大10割引(上限1名6,000円/泊) | 最大7割引(上限2万円/泊) |
事業費 | 180億円 | 31億円 | 81億円 |
対象地域 | 九州7県 | 13府県 | 北海道 |
参考に、この5年間で実施された主なふっこう割の概要は上の表の通りです。
これらのことから、これまでの「ふっこう割」と比較して、「Go To トラベルキャンペーン」には次の5つの特徴があります。
▽Go To トラベル事業の特徴
①事業規模や対象地域が過去最大
②旅行割引だけではなく、地域共通クーポンを発行する
③支援対象事業者、対象旅行商品を大幅拡大
④1回の旅行代金の上限割引額が大幅UP
⑤都道府県主体ではなく、全国をまとめる事務局の設置
それではもう少し、細かくみていきましょう。
「Go To Travel キャンペーン」と「ふっこう割」5つの違い
事業規模や対象地域が過去最大
これまで最も大規模な「ふっこう割」は熊本地震のときに実施された「九州ふっこう割」ですが、九州7県の旅行が補助対象で、その事業費は約180億円でした。
「Go To トラベルキャンペーン」は1兆3500億円なので、事業規模は「九州ふっこう割」の約75倍です。
また対象エリアが最も広かった「東日本ふっこう割」は災害救助法が適用された”14都県”で実施されました。
一方、「Go To トラベルキャンペーン」は”47都道府県”が対象となります。
地域共通クーポン券を発行し、地域経済の活性化を促す
「ふっこう割」では旅行代金の一部を補助してきましたが、「Go To トラベルキャンペーン」は旅行代金に対して最大半額の補助額のうち、3割に該当する部分については旅行先の飲食店や土産店で使える「地域共通クーポン券」を発行するとしています。
「Go To トラベルキャンペーン」では、旅行代金の割引だけではなく、地域共通クーポン券を発行することで、地域の消費拡大を促進します。
支援対象事業者、対象旅行商品を大幅拡大
これまでの「ふっこう割」の対象事業者は、最大でも旅行事業者(OTA含む)約3百社、ホテル・旅館など宿泊施設が約3千施設でした。
「Go To トラベルキャンペーン」の対象事業者は、旅行事業者(OTA含む)約5千社以上、宿泊施設が約3万施設以上、地域共通クーポンは50万〜100万店舗以上とみられています。
このうち、どれだけの事業者がキャンペーンに参画するかはまだ未知数ですが、「ふっこう割」に比べて対象事業者がとても多いのが、「Go To トラベルキャンペーン」の特徴です。
民泊やペンションなどの小規模事業者や日帰り旅行も対象になるなど、対象旅行商品も大幅に増加します。
1回の旅行代金の上限割引額が大幅UP
「東日本ふっこう割」の割引上限額は、1回の旅行につき1.5万円でした。
「Go To トラベルキャンペーン」は、1人1泊につき上限2万円を助成します。
例えば、観光庁の資料では、1人につき2泊3日10万円のツアーでは、1回の旅行で1人4万円を助成(旅行代金2.8万円引、地域クーポン1.2万円)すると説明しており、1回の旅行代金の割引額がアップしました。
ただし、過去の「ふっこう割」では、最大7〜10割引の事例もあったため、「Go To トラベルキャンペーン」における”最大割引率”は抑えられました。
ふっこう割は都道府県単位、Go To キャンペーンは全国で実施
「ふっこう割」は、国から補助金を受けた各都道府県が民間企業へ事務局運営を委託し、都道府県単位で実施をしてきました。
「Go To トラベルキャンペーン」は対象事業者が大規模になるため、国土交通省が主体となり、民間企業に全国をまとめる事務局運営を委託し、全国約10のブロックに分けて拠点を設置します。
このように運営方法も大きく異なります。
Go To キャンペーン委託費用はなぜ巨額になったのか
「Go To トラベルキャンペーン」の事務委託費用は約2,300億円であり、巨額であることから大きな批判を浴びました。
事業費が1兆3500億円ですから、事業費の約17%が委託費用となります。
ただし、この事務委託費用は上限ですので、キャンペーン終了後に圧縮された交付金は国庫に返還されます。
「熊本ふっこう割」では事業費の約23%の事務費を見込みましたが最終的には約15%に抑えられました。
今回、国が参考にしたのは、過去に実施した「ふっこう割」の事務費の比率でした。
「Go To トラベルキャンペーン」は事業規模も大きく、地域共通クーポン発行などの新しい試みもあり、事務局の作業は膨大で多岐に渡ります。
そのため事務費の試算が難しいようですが、国土交通省は「事務費をなるべく減らすことを目指す」としています。
新しい旅のエチケットでGo To トラベル
新型コロナウイルス感染症による経済への影響は、戦後最大と言われており、外出自粛の影響もあって休業する店もでるなど、観光業や飲食店などは5月の売上が昨年比の5〜10割減といったニュースが目立ちました。
2020年6月19日に都道府県をまたぐ移動自粛が緩和されましたが、感染拡大の恐れもあって、引き続き外出を控えるムードが続いています。
このムードを払拭し、旅行需要を回復するには大規模なキャンペーンの実施が不可欠です。
とはいえ、感染の動向次第では「Go To キャンペーン」事業も中断することになりますので、第2波の感染拡大を防止し、スムーズに経済を復興させるためにも、各々が「新しい旅のエチケット」を意識する必要がありますので、ご協力ください。
それでは感染防止に努めて、安心で楽しい旅行を!
Go To キャンペーン、新型コロナ関連のコンテンツ一覧
Go To トラベルキャンペーンは、8月上旬開始を目指し準備が進められています。
Go To トラベルキャンペーンまでの間、都道府県などの各自治体が独自の観光キャンペーンを行っております。
下記のページにまとめておりますので、お得な観光復興キャンペーンを活用し、旅して地域を応援してくださいね。
①Go To キャンペーン最新情報はこちら
Go To キャンペーン全体について最新情報を更新しています
②都道府県別、観光復興キャンペーン/Go To トラベルまとめ
居住の都道府県や自治体が宿泊代金を割引するなどの支援策を実施しています
③お住まいの都道府県民限定の宿泊プラン&宿泊クーポン
旅行予約サイトから、地元民を対象とした割安な宿泊プランの販売やクーポンが配布されています
④ふるさと納税で支援
応援したい自治体に「ふるさと納税」を通して寄付をすることができます
⑥日本ふっこうプロジェクト
地域の特産品などを詰め合わせて「復袋」として販売し、全国の消費者へ届け、事業者を支援する取り組みです