Go To トラベルキャンペーンが昨年末より中断しており、その代替として県民割を財政支援する地域観光事業支援が4月よりスタートしました。またGo To トラベルの内容見直しについても議論が続けられているところです。
このページでは、4月・5月に行われた観光庁長官記者会見の内容から、国の観光支援策について、最新の動向をお伝えします。
「地域観光事業支援」前売り宿泊券も対象に、期限延長
政府はGoToトラベル再開の目処がたっていないことから、1人1泊あたり最大7,000円を補助する「地域観光事業支援」の期間について、最長12月まで延長しました。(ただし、8月末までに予約したものが対象)
そして、感染拡大の影響ですぐに県民割を実施できない都道府県にも支援が行き届くよう「前売り宿泊券・旅行券」を対象にし、将来の旅行需要と宿泊事業者の資金繰りを支援します。
またサーモグラフィや非接触チェックインシステムの導入など、宿泊事業者が感染症対策の強化等に取り組む費用についても、財政的に支援します。
22県から申請、前売り旅行券についても12県が検討
5月19日(水)時点で、地域観光事業支援(県民割)については、既に22県からの補助金の交付申請があり、うち13県(岩手県、秋田県、栃木県、富山県、山梨県、静岡県、島根県、山口県、高知県、長崎県、大分県、宮崎県、鹿児島県)に交付決定をしています。
また「前売り宿泊券・旅行券」について、12県が実施に向け検討しています。
「GoToトラベルキャンペーン」年内再開の可能性
地域観光事業支援とGoToトラベル、割引の併用は?
「地域観光事業支援」は最長12月末まで実施されることになっていますが、感染状況が全国的に落ち着いた場合にはGoToトラベルを速やかに再開する方向で検討しており、2制度の期間が重なる可能性があります。期間が重なった場合は、両方の支援を受けることができるのでしょうか。
これについて観光庁長官は5月19日の会見で、「事業として仮に二つそれぞれが動いているといったことがあっても、一つの事業に対して、両方から支援するということは、根元が同じ国費ですので、そういったことは控えたい、そういったことは出来ない。」と述べ、期間が重なった場合には、旅行者に地域観光事業支援またはGoToトラベルのどちらかを選んでもらう方向で検討を進めていくとしています。
GoToトラベル内容見直しの進捗は?
旅行事業者から、GoToトラベル終了時にソフトランディングするために、現状の割引率を下げて欲しいという要望があり、これについて観光庁長官は5月19日の会見で、「色々な形で何%がよいのか、それともクーポンの方の数を増やすのがいいのか、減らすのがいいのか、そうしたいろいろなケースを、それぞれのメリットやデメリットについて検討しています。」と述べました。
また大型連休などの繁忙期は対象外にすべきだという声が上がっていることについて、「事業者にとって旅行需要の平準化は、生産性の観点等々も含めて非常に重要な課題なものですから、そういった面は我々としても検討課題として認識しています。」とし、GoToトラベルの内容については、現在も様々な角度から協議されており検討段階です。
PCR検査、ワクチン接種をGoToトラベルの条件とする声も
PCR検査で陰性の方またはワクチン接種者をGoToトラベルの支援対象にすべきだという意見が、旅行事業者などから上がっています。
これについて観光庁長官は4月23日の会見で、観光需要回復の前提として、旅行する環境を安心安全なものに整える必要があるという観点から、PCR検査についても部内で議論を行っていることを明らかにした上で、「現在のPCR検査の供給能力、検査能力等を勘案するとGoToというものの中でどこまでそれを取り入れるのが、実際に出来るのかという課題があると、直感的には感じています。」と述べました。
ワクチンについては、「まだまだワクチンの接種率がこういう状況なものですから、この状況でその議論をするには、まだ少し早いのかなと。」とする一方で、国際旅行も含めて旅行需要の活性化のために重要であるとの考えを示しました。尚、政府はワクチンの接種有無を国内移動の対象条件とすることについては、否定的な姿勢を見せています。
GoToトラベルの予算消化状況は?
5月18日時点までに、旅行代金の割引と地域共通クーポン券のための給付金として約6,200億円支出済で、GoToトラベルの割引支援を受ける旅行商品のために約7,200億円を旅行会社や宿泊施設に配分しています。これの地域共通クーポンのための予算等を合計すると約1兆350億円を事実上使用しています。
GoToトラベルのキャンセル補填額については、5月17日時点で申請総額は1,400億円以上で、支払総額は約1,202億円です。
地域観光事業支援の予算として3,300億円を計上しているものの、実際の支出は事業終了後に補助金額を確定するため、現時点での支出はありません。
GoToトラベルについては、1兆円を大きく超える予算が残っています。
今後も、GoToトラベルや県民割について、最新の動向をチェックし、お届けします。
参考:観光庁長官記者会見